こんにちは、コミティです👩
介護の仕事を初めて13年になります。
現在は介護施設で働いていますが、最初は訪問介護からのスタートでした。
最初は緊張の連続でやらかしたことも多々あり。
それでも今まで介護の仕事を辞めずに続けてこれたのは、たくさんの「ありがとう」のおかげです。
人生に無駄なことはひとつもないなと思います。
今回は私が12年前に初めて担当した訪問介護のことを書こうかなと思います。
目次
初日訪問は問題なし
訪問介護事業所に登録して、初めての仕事は、長男夫婦と2階建ての一戸建てで暮らす寝たきりの80代の女性の排泄介助でした。
利用 者さんのお名前はサトさんと言います(仮名)
早朝6時と深夜22時半のおむつ交換が仕事。

初日は事業所のサービス担当責任者が同行してくれました。
サトさんはほとんど寝ておられますが、ごくたまにトイレにも行かれていました。
訪問するとまずトイレに行くかどうかを尋ね、行くと言われればトイレ誘導し、行かないと言われればベッド上でおむつ交換をします。
初めて訪問した日は1階の玄関近くにあるサトさんのお部屋に直行し、先輩の仕事の段取りを見学し、無事に終えました。
お嫁さん登場
そして2回目。
2回目訪問からは1人で、早朝6時の訪問です。
緊張でなかなか眠れず、時間より早めに到着し、自宅前で6時になるのを待っていました。
そして6時。私のデビューです。
鍵はかかっておらず、そのまま「おはようございます、失礼します」と言いながらお邪魔すると、お嫁さんが出てきました。
お嫁さん「おはようございます」
私「あ、はじめまして。今日からサトさんの担当させていただきます…」と挨拶しようとしたら…

お嫁さんは私の言葉をさえぎるように天気の話しばかりしてきました。
私は内心
『今日、晴れてるけどなぁ…』と思いながら
「そうなんですね」と合づちをうっていると
お嫁さんは「はいはいはいはい」と言いながら
お姑さんであるサトさんの部屋に入っていきサトさんの布団をめくりあげたのです。

私はびっくりしてしまい、ややうろたえてしまいました。
『え、何してはるのん?』
サトさんの布団をめくりあげたまま台所に向かい、朝食を作りはじめたのです。
『え、布団めくるだけめくって行ってまうん?』
サトさんも布団をいきなりめくられ、目をぱちくりさせていました。
その後、おむつ交換をしたのですが、排便されており、衣類も汚れていたので更衣をしました。
すると台所にいたお嫁さんが再び現れ、「はいはいはいはい。今日は昼から雨やからね」と言いながら、私の周りをうろうろされます。
『えっと…ちょっと邪魔なってますけど💦』
私が「あの、便で汚れてしまったんです」と汚れた衣類を見せると
「はいはいはいはい。今日は雨やからね」と言いながら、汚れた衣類を持って向こうに行かれました。
『どんだけ雨にこだわるねん』
なんとかおむつ交換が終わり、最後にサービス提供記録を書いていると、またお嫁さんが登場します。
手にはさきほど持って行った汚れた衣類を持っており、サトさんの布団の上にその衣類を掛けていました💧

私「あの、その服は汚れてるんで洗わないといけないんですけど…」
お嫁さん「はいはいはいはい…今日は昼から雨やからね」
『だめだこりゃ…』
私は急いでその汚れた衣類を手洗いしてから、そのお宅を出ました。
20分のサービス予定が、不慣れなせいと洗濯で、1時間かかってしまいました。
その日の夜の訪問に行く
朝に続いて、夜の訪問時間がやってきました。
またあのお嫁さんが出てくるのかな。
ちなみに昼からも雨は降っていない。
そう思いながら行くと、お嫁さんは出て来ませんでした。
サトさんに声掛けし、トイレに行かないと言われたので、ベッド上でおむつ交換を行なったあと、背後に視線を感じます。

また出た💦
『そんなん思ったらあかんけど💧』
サトさんは認知症があると聞いていたが、わりとしっかりとお話しされる。
サトさん「あの人の言うことは聞いたらあかんで。頭おかしいねん」
私「そうなんですか?」 『でしょうね💧』
その日の夜はお嫁さんを無視するような形になりましたが、おむつ交換を終えて退室しました。
サービス提供責任者に報告
翌日の早朝6時も訪問し、おむつ交換を行いました。
当然、お嫁さんはいらして、前日と同じくお天気の話しをされます。
サービスが終わった後にサービス提供責任者にお嫁さんのことを伝えました。
サ責「あ、ごめんごめん。言うてなかった。お嫁さん、認知症やねん。関わってこようとするけど相手にせんといて」

私「そうなんですか…」
『えー💦そんなん先に言うといてよ~』
お嫁さんが認知症と知ってから
相手にするなと言われましても、毎回関わってくるのだからどうしようもない。
そもそも訪問介護初めての新米ヘルパーによう行かせたな💧と思いました。
私も最初はどうしたらいいのかわからないことも多いので、毎回お嫁さんの関わりをかいくぐりながらサービス提供を行うのに苦労はしました。
しかし慣れとも恐ろしいもので、しまいにはお嫁さんのことをお名前で呼ぶようになり、手伝ってもらうようになってました。
私「はい、ゆうこさん、これを洗濯してください」と汚染した衣類を渡すと

ゆうこさん「はいはいはいはい。今日は昼から雨ですね。」と言いながら受け取り
私「そうですね。雨降るかもしれませんね。その前に洗濯してくださいよ」とお風呂場まで一緒に行き、「こうやって洗います」と途中まですると、あとは洗ってくれました。
私「ゆうこさん、バケツにお湯を入れてきてください」と言うと入れてきてくれることもありました。
そして最終的にはゆうこさんが「今日は雨で…」と言う言葉に被せるように、私が「今日は晴れです。快晴です」と言うと、ゆうこさんも「はいはいはいはい…はい晴れです」と言い、大笑いしたこともありました。

突然サービスが終わる
サトさんのお宅には週4日の朝と夜に訪問介護に行っていました。
三ヶ月が過ぎようとしていた時に突然サービス終了の連絡が来ました。
サトさんが特養に入られることになったからです。
慣れてきてたところだったので、もう終わりかと思うと寂しくもありましたが、私も当直の仕事の話しをもらっていたので、早朝と夜の訪問がなくなれば当直に行けると思い気持ちを切り替えました。
サトさんが特養に入られた後、しばらくしてお嫁さんのゆうこさんもグループホームに入ったと聞きました。
初めての訪問介護でまさかの2人のお世話をすることになり、最初は大変だと思いましたが、今ではいい経験です。
この家庭の背景
サトさんとゆうこさんの関係は元々嫁姑の関係はよくなく、サトさんがゆうこさんを気に入っていなかったようです。

ゆうこさんは認知症になる前はパートには出ていましたが、長男の嫁としてお姑さんであるサトさんのお世話をよくしていました。
サトさんは昔、日本舞踊をしており、お稽古場までは天気のいい日は1人で行かれていたらしく、雨の日だけはゆうこさんが車で送迎していたとのことでした。
サトさんが脳梗塞で倒れてからも、ゆうこさんがお世話していたようです。

ですが、サトさんはゆうこさんには冷たく当たっていたようでした。
そしてゆうこさんもまだ60歳にもならないうちから認知症を患ってしまったのです。
サトさんのご主人は既に他界されており、長男であるゆうこさんのご主人は仕事で忙しく、サトさんの介護をゆうこさんに任せきりになり、ゆうこさんの認知症に気付くのにも時間がかかったのでしょう。
ゆうこさんは私が訪問すると朝も夜もよく台所で野菜を刻んでいました。

包丁の音がトントントントンとしていたので、何を作っているのかのぞいたらひたすらキュウリを切っていました(笑)
『キュウリそんなに切ってどうすんの??』

こちらのお宅でゆうこさんがどんなに苦労してきたんだろうと思うと切なかったです。
グループホームに入ってからの方が幸せになってるかも知れません。
きっとグループホームで腕によりをかけて、お料理していることでしょう。
得意料理はキュウリの酢の物に違いありません。
そして洗濯も一生懸命していることでしょう(笑)
きっとまだ元気で暮らしていると思います。
残りの人生穏やかに暮らしていると信じたいです。

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