
こんにちは。
介護職歴13年目のコミティです。
介護施設で働いていると、本当に色々な利用者さんがいて退屈することがありません。
みなさん高齢者ばかりですが、さぞかし若い頃は美男美女であっただろう、モテただろうと思わずにいられない方もいらっしゃいますしね。
今回は10年ほど前に働いていた住宅型有料老人ホームの時の男女の利用者さんのエピソードを紹介します。
男性利用者の80歳の達夫さん
その男性利用者は達夫さん(仮名)と言います。

達夫さんは弱視で視力が悪いですが、自立度は高く、施設に入居はしているものの、自宅が残っており、自由に外出されていました。
達夫さんには入院されている奥様がいましたので、毎朝施設を出てから、奥様の入院先に行かれたり、自宅に行ったり、買い物をして帰ってきて、食事も施設の提供ではなく、ご自身で買ってきたり、居室でホットプレート等で調理して召し上がっていたのです。

女性利用者の75歳の恵子さん
その女性利用者は恵子さん(仮名)と言います。

恵子さんはかなり認知症が進んでいましたが、身体的には元気に歩き回り、美人で社交的な方でした。感情のコントロールがきかず突然怒ってしまうこともありましたが、基本的には人に話しを合わせ、よくお話しされる方です。
肩もみが上手で、私は毎晩のように肩をもんでもらい、毎回、お子さんがおらず、ご主人と二人で暮らしてきたこと、40歳でご主人が亡くなったこと等話してくれていました。
達夫さんと恵子さん
達夫さんと恵子さんのお部屋は向かい同士にありました。
達夫さんは施設オープンの時から入居されていたので、恵子さんの方が数か月後に入居されています。
恵子さんは社交的なので、お向かいさんの達夫さんともすぐに親しくなりました。
達夫さんは毎日外出し、買い物の際に、他の入居者さんにも食べるものを色々と買ってくるので、ちょっと困ってたんですけどね。

みんな喜んでると思ってるから、何度注意しても聞いてくれない。
それはもちろん恵子さんにもおよんで、頻繁に買った食べ物を恵子さんにあげるようになっていたのです。
バナナ1房、菓子パン、総菜のおかず、1Lの牛乳、缶コーヒー、しまいには生の鶏肉までありました。



恵子さんは愛想いいから、くれるものは、笑顔でありがとうと喜んで受け取っていて、もらったものを冷蔵庫以外の色んなところにしまってしまい、忘れてしまうのです。
そして、居室の掃除の際や、入浴準備でタンスを開けた時等に、腐った食べ物が見つかり回収ということが頻繁にありました。
達夫さんに何度あげるのをやめてくれとお願いしてもやめてくれないのです。

二人の仲は急接近
ある夜のこと。
私が眠前薬を恵子さんに持って行くと、お部屋に恵子さんがいません。
あれ?どこ行ったの?

そこはワンフロアだったし、エレベータも鍵で開けないといけないので、利用者さんが一人でエレベータに乗り移動することは不可能。
もしや他の部屋に入っているのでは…と思い、探したのです。
そしてお向かいの達夫さんの部屋…鍵がかかっています。
耳を澄ますと…
「あぁ…ええ気持ちやぁ…」
「昔から主人も喜んでたわ。ここカチカチやよ。」
「そう、そこそこ…」
とか聞こえてきます。

私は、おいおい💦何してるんや💦と思うものの、この戸を開けていいのだろか💧
開けた瞬間、どんな光景が繰り広げられているのか、恐ろしかった💦
でも私は勇気をふりしぼり、ノックをし、恐る恐る戸を開けました。
すると…

恵子さんが達夫さんの肩をもんでいました(笑)
達夫さんの肩はカチカチだったらしい。
もう紛らわしいねん!と思いました💦
あんなことやそんなことを想像してもうたやないか💦と。

私は恵子さんに「部屋にいないから探してたんですよ。心配しましたやん。」と言うと、
「あらごめんなさいね~。」とあっけらかんとしていました。
達夫さんはちょっと邪魔されたと思ったのか、やや不満そうに見えましたが、「もう寝るわ」と言い、そのまま就寝されました。
お互いの部屋に入るのを禁止にされる
恵子さんが達夫さんの部屋に入り、鍵を閉めていた件もあり、恵子さんの妹さんからも注意してほしいとの希望で、お互いの部屋には入ってはいけないと言う禁止令が出されました。
私たち職員の目も光る☆
達夫さんは相変わらず、買い物に行っては恵子さんに差し入れをしようとしています。
しかし、お互いの部屋に入ろうとすると、目を光らせる職員が来るので、なかなか差し入れすることができなくなったようです。
そしてある夜のこと。
恵子さんが廊下を徘徊していました。
それを達夫さんは自室の戸を少し開け、ジーっと見つめています。


私にはそれが丸見えです。
奴が何かをしようとしているのが丸わかり。
そして恵子さんが自分の部屋に戻ろうとした時のこと…
恵子さんが自分の部屋の戸を開けると、達夫さんの部屋から恵子さんの部屋に向かって、バナナが1房飛んでいったのです!
続いて菓子パンも飛んでいきました!
恵子さんもいきなり飛んできたバナナや菓子パンに「え?何?」って感じです。
私はそーっとそばまで寄り、達夫さんの様子を観察。
達夫さんは目が悪いから、私がけっこうそばまで来て見てることに気付いてないみたいでした。
達夫さん、まるでボーリングをするかのような恰好で、次々に恵子さんの部屋に食べ物を投げとります💧

なにしとんねん。
恵子さんは足元に食べ物がどんどん投げられて来られているが、私がそばまで来ているのでニコニコしている。
そして私が「達夫さん、なにしてるんですか?」と声掛けると、達夫さんは慌てて戸を閉めました。
そこまでして差し入れしたいんかい…と思う私でした。
達夫さん失恋
職員が目を光らせるので、達夫さんと恵子さんはあまり近寄れなくなっていました。
それでも達夫さんは頻繁に夜には戸を開けて、徘徊する恵子さんを少し顔を出して見つめています。

もう怖いねん。やめてくれ。と内心思っていました。
徘徊する恵子さんに私が付き添うと、達夫さんは戸を閉めます。
ある日の夜、また恵子さんが自室にいなかったため、再び達夫さんのお部屋の中を確認。
すると達夫さんの部屋にはおらず、私が恵子さんを探していることを知り、達夫さんも心配し始めました。
他のお部屋にいるはずと思い、探して回りました。
すると鍵のかかっているある男性の部屋が怪しくなり、ノックして開けると…
いた!
ベッドに座っている。
「もう探しましたよ。何してたんですか」と言うと、笑顔で「肩もんでたの」って。
どんだけ肩もみ好きやねん!
そんなに肩もみたいなら、私の肩を好きなだけもましてあげます!と本気で思いました。
この男性利用者は比較的自立度が高い方だったし、恵子さんはまだ70代で認知症ではあるけど、美人だから、きっと下心があったに違いないです。

しかし、恵子さん、ほんまにただ肩もみが好きなだけ?
すぐに男性利用者の部屋に入って鍵かけられちゃうんだから大変でした。
で、達夫さんは恵子さんが他の男性利用者の部屋に入っていたことを知り失恋したようで、それから恵子さんへの差し入れがなくなりました。
てか、達夫さん、奥さんいてますねんで。恋が成就してる場合やないで。
恵子さんは何もわかってないので、変わらず達夫さんに愛想よく挨拶していたけど、達夫さんはなんだかよそよそしくなってしまいました。
いくつになっても男であり、女である
介護施設に入居されている高齢者の方でも、真剣に恋愛される方もいます。

施設に入ると周りから監視され、自由に恋愛できないような空気になるので、ちょっと気の毒ではあるけどね。
私の知り合いの経験では、実際に女性利用者が男性利用者の部屋に入り、二人とも裸でベッドに入っていたこともあったらしい。
キスをしているのを発見したこともあるし、一人の男性に複数の女性利用者が夢中になり、争いが始まったこともある。
でも個人的にはいつまでも恋する気持ちがあることは若さの秘訣になりそうな気がする。
私も長らく恋してないわー。
死ぬまでにあと一回くらいは恋できたらええなー。
では今日はこのへんで👋
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